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大阪商業大学図書館は、経済学や経営学をはじめとして、思想、文学などの分野の貴重な原典本と翻訳本および関連研究書を所蔵し、その数は現在701点に達 している。とりわけ、重要な図書は初版をはじめ諸版を収めており、これにより原典の各版の比較対照が可能となり、研究上大きな意義があるものと思われる。 ヒューム・コレクションを見れば、『道徳・政治論集』は初版(1741)から第3版(1748)までを揃え、『グレート・ブリテン史』と『イングランド 史』の初版と仏語訳および独語訳があり、このほかに『人性論』、『自然宗教に関する対話』、『政治論集』なども収め、多方面にわたるヒュームの「人間の科 学」の広さを知ることができる。なお、ヒュームの死後に出版された『デイヴィッド・ヒューム自伝』にはアダム・スミスの弔辞とも言える手紙が付記されてお り、ヒュームの人間性や宗教観にたいするスミスの考えなどが示され、小冊子ながら貴重な内容を備えている。 経済学関係のコレクションには、スミスの『道徳感情論』の第3版と第5版をのぞいて初版から第9版までと、3種の異版本、仏語訳1点が収められている。 『国富論』は初版から第11版(Playfair版)までのすべての版を所蔵し、その他にダブリン版2点、グラースゴウ大学版、エディンバラ版とロンドン 版の各種版、珍しいロジャース版やマレー版、マカロック版4点など、33種の版本と4種の仏語訳を有し、コレクションを豊かなものにしている。加えて、ス ミスの死後に出版された『哲学論文集』と『グラースゴウ大学講義』も含まれている。 マルサスの『人口論』は初版から第6版までのすべての版と仏語訳を所蔵している。その他に、19世紀初頭イギリス世論を賑わせた「穀物法論争」に関連する『地代論』や『価値尺度論』および『経済学原理』の初版を揃えている。 マルサスと並んでイギリス古典派経済学の代表者の一人であるリカードウは『経済学および課税の原理』によってその名を経済学史上不朽のものとしたが、こ こにはリカードウの初期の地金論争に関するパンフレット、『経済学および課税の原理』の母体となった『穀物の低価格が資本の利潤に及ぼす影響についての試 論』、および後期の『農業保護論』、『国立銀行設立試案』を収めている。代表作の『経済学および課税の原理』はすべての版とJ.-B.セーによる解説注を付した仏語訳は重要な価値をもつ著作といえよう。それ以外に、独語訳、デンマーク語訳、ゴナー版が加わっている。 ミル・コレクションには、ミルの代表作の一つ『論理学体系』が初版から第10版までがあり、ヨーロッパに革命の嵐が吹き荒れた1848年に出版された 『経済学原理』はリカードウ以後の古典学派の重要な著作であるが、本コレクションには初版から第9版までの各版と3種の異版本を収めている。さらに、ミル の自筆書簡13通を所蔵し、その中には未公刊の書簡が含まれおり、貴重な内容となっている。 以上のような古典派経済学の代表者の他に、所蔵点数は少ないが重要な人物としてスミスの先輩であり親友でもあったヒューム、スミスの先行者でありイギリ ス重商主義最大の論者と評価されるスチュアート、リカードウの後継者のマカロク、トレンズ、セーらの代表的著作も含まれている。そして、古典学派への批判 的継承の結果生み出されたマルクスの『資本論』第1巻(1867)、エンゲルス編の第2巻(1885)・第3巻(1894)が収められている点も注目され るであろう。同じドイツ人のリストは後進国ドイツの立場からイギリス古典派経済学に異議を唱え、独自の経済学を樹立した。彼の著作集も含まれていることを 付言しておこう。 経済学関係以外の図書では、ロマン派詩人の代表者のバイロンの『チャイルド・ハロルドの巡礼』、『ドン・ジュアン』、『書簡集』などがあり、関連研究書とあわせてその数は166点にものぼり、質量ともに誇りうるものである。 これらのコレクションのなかで、最も古い図書はイタリアの数学者パチョーリの『算術、幾何、比および比例大全』(1494)で、複式簿記を最初に説明したことで有名なこの世界的な稀こう本は、コレクションの価値を大いに高めている。 本コレクションは原典本をはじめ多くの版本と外国語訳、および関連研究書を収集しているところに特色があり、このたび貴重所蔵書一覧を公開することにより研究者や関心のある方々に利用の便をはかり、研究発展の一助になれば幸いである。 |
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