リカードウやマルサスの次の世代にあたるミルは新しい問題に直面した。19世紀半ばに達したイギリス資本主義は「世界の工場」として繁栄を誇る一方で、周期的恐慌に喘ぐ労働者階級の現状は過酷であった。1848年、大陸の社会主義勢力は革命を蜂起し、その側圧を受けてイギリスの労働者運動も高揚した。この年に出版されたミルのこの本は社会主義者の意見や理論を検討し、後続の諸版では次第に社会主義に対して理解ある立場を表明した。