『経済学および課税の原理』 第2版 ロンドン 1819年刊
リカードウは、スミス経済学の批判的検 討とマルサスとの論争を基礎にして独自の経済理論を樹立した。スミスに見られた価値論の曖昧さを払拭して労働価値論の純化をはかるとともに、差額地代論や比較生産費説の定式化を行なうなど、経済学史上画期的な業績を残した。初版(1817)、第2版(1819)、第3版(1821)と改訂が行なわれたが、特に生前の最終版である第3版で追加された「機械論」は、機械の導入が失業を招く可能性を是認した点で、従来の見解を修正する内容を含み、リカードウ経済学を解釈するうえで重要な問題を提起した。本書が与えた影響力は、リカードウに対する賛否を問わず、当時の経済学界において極めて大きなものがあった。
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